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分野別実務修習 -刑事裁判修習- written by 76期司法修習生 佐藤 和樹

分野別実務修習 -刑事裁判修習- written by 76期司法修習生 佐藤 和樹

1 はじめに

今回は、分野別実務修習の各論として、刑事裁判修習についてご紹介したいと思います(なお、分野別実務修習の大枠についてイメージを持ちたい方は、別コラムにて、分野別実務修習の総論をご紹介しておりますので、そちらもご参照ください)。

刑事裁判修習とは、裁判修習の中でも、刑事部に配属され、刑事事件に関する裁判実務を学ぶ修習となっています。

各裁判所によって異なりますが、大規模庁では、刑事部は複数分かれており(第1刑事部(いわゆる「イチケイ」です)、第2刑事部、第3刑事部など)、各部に修習生が4名前後それぞれ配属されることになります。

また、これも各裁判所によって異なるところではありますが、各部には、部長、右陪席、左陪席の合計3名前後の裁判官が所属していることが多いです。

裁判官との距離も非常に近く、刑事裁判官がどのような考えで、事件記録を読み込み、公判に臨んでいるか等、身近に感じることができます。

では、実際に修習生が刑事裁判修習でどのような修習をしているのか、以下ご紹介していきます。

2 刑事裁判修習

1.事件記録の検討・起案

まずは、事件記録の検討・起案が挙げられます。配属されている部には、多種多様な事件が係属しており、修習生は実際の事件記録を読むことができます。

事件記録には、実際に事件が係属している最中のものもあれば、すでに事件が確定している記録(既済記録)もあります。

ご自身が興味関心のある分野について、希望を伝えれば、必ずではありませんが当該分野に関する記録を修習生に割り振ってもらえることもあります

修習生に割り振られた事件記録について、修習生はまずは事件記録を読み込むことになります。

実際に係属中の事件については、手続きの進捗具合によって今後想定される手続きや、争点に対する審理などの意見を各部の部屋で裁判官から質問を受けることがあります。当該問答を重ねることで、刑事裁判の理解が大変深まりますので、わからないことがあっても臆することなく、裁判官との問答を楽しんで行うことをおすすめします

既済記録についても、すでに事件が確定しているとはいえ、手続き過程の全てを記録から読み取ることができるので、一連の流れとして刑事裁判のイメージを持つうえで、大変勉強になります。

事件記録の読み込み・検討が終わると、修習生は起案をすることになります。
起案の内容は、事件記録によって異なりますが、概ねは争点に対する判断(事実認定)や判決文の起案を行うことになります。起案は裁判官に提出し、直接内容についてフィードバックを受けることができますので、力を入れて起案をすることをお勧めします。なお、起案はPCにて行っていました。

2.裁判傍聴

刑事裁判修習では、事件記録の検討だけでなく、裁判傍聴もあります。単独事件だけでなく、合議事件も傍聴することができます(私が配属された部では、単独事件をメインに傍聴し、合議事件がある際にはその都度傍聴をしていました)。

裁判傍聴の際には、傍聴席からではなく、法廷内のバーの内側から修習生用の椅子に座り、公判審理の傍聴を行います。メモ等もすることができます。

傍聴前後において、裁判官と係属事件について問答がなされることがあります。傍聴前に事件記録を読み、傍聴中も漫然と公判審理を見ているのではなく、今どのような手続きがなされているのか等、主体的な視点で傍聴をすることで、裁判官との問答が実りあるものになります

3.裁判員裁判傍聴・評議参加

タイミングが良ければですが、裁判員裁判の傍聴及び評議への参加をすることもできます。特に、評議は裁判官になる他は、今後参加することができないものですので大変貴重な経験になります。

4.模擬裁判

修習地にもよりますが、修習生は模擬裁判を経験することができます。裁判官役、検察官役、弁護人役に分かれ、実際の裁判所内にある法廷を利用します。

扱う事件は、簡易的なものですが、自らが刑事手続きを主導的に動かし、実際の裁判官も同席したうえでご指導頂ける大変貴重な機会ですので、ぜひ参加することをお勧めします。

5.令状実務修習

半日程度にはりますが、令状部修習といって、裁判官によって令状審査がどのようになれているのかを学ぶことができます。

勾留請求や接見禁止等請求について、裁判官は早期に判断する必要があり、通常の事件とは異なるスピード感と決断力を垣間見ることができます。

もちろん、修習生も意見を求められますので、しっかり記録を読み込むことが大切です。

6.全国一斉起案

さて、最後に分野別実務修習において、分野ごとに1回、全国一斉起案があります。
全国一斉起案は、成績評価の対象になりますので、修習生としては事前に勉強をしたうえで臨むことが大切です。

各クールのはじめに実施されることが多く、手書きでの起案のため、2回試験に向けた練習にもなります。

 

3 最後に

以上のように、刑事裁判修習では、刑事裁判に関する手続きや審理経過などの全てを見ることができます。

約2ヶ月という非常に短い期間ですので、1日1日実りある修習にするためにも、ぜひ積極的に取り組んで頂けたら幸いです。
そのためにも、本記事にて、少しでも刑事裁判修習のイメージを持って頂けたらと思います。

 

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